物質の温度が上昇すると固体から液体へ,液体から気体へと状態が変化します. さらなる温度上昇とともに気体の分子は解離して原子になり,原子は電離現象によって正イオンと電子(マイナス)の荷電粒子に分かれます.多数の正および負の電荷を帯びている粒子の混在している物理状態をプラズマとよび,そのプラズマの熱的,電磁的,光学的ならびに化学的特性を利用して数多く工学的応用がなされています.
 

物質の各状態のイメージ図
(「科学の力 地上に太陽を創る(核融合科学研究所)」を参考)

 
放電プラズマの工学的応用に関する樹木図
(飯島徹穂・近藤信一・青山隆司 著 「はじめてのプラズマ技術(工業調査会)」を参考)


  プラズマを用いての薄膜作製やエッチングなどを行うプラズマプロセッシング技術は半導体デバイス等の製造プロセスにおいて重要なキ−テクノロジ−の一つとなっています.プロセスで利用されているプラズマの生成方式としては多数の方式がありますが,代表的なものとして容量性結合型高周波放電ならびに誘導性結合型高周波放電があげられます.このように生成されたプラズマ中に存在する荷電粒子に関連する物理量(密度,エネルギ−等)や 活性種・励起粒子の密度などを,プロ−ブ法や発光分光法により計測しています.
 
誘導性結合型アルゴン高周波放電からの発光の様子
 
 本研究室での大気圧放電の研究としては主に次の二つがあげられます.
  1. 誘電体バリア放電方式によるオゾン発生器(オゾナイザ)の高効率オゾン生成に関連した研究 
  2. 大気圧高周波放電による低温プラズマ生成ならびにプロセスへの応用に関連した研究
 1.の研究では,オゾン生成の高効率化に向けて、放電サイズやガス流量などの最適設定の他、電源(印加方式,周波数)の工夫や混合ガスの利用などによる効率化改善にも取り組んでいます.この他,バリア放電方式を用いた応用として排気ガス処理などの環境応用の面にも裾野を広げていくことを考えています.2.の研究は開始してまだ間もないですが,現在はヘリウム・酸素混合高周波放電を中心に研究を進めています.今後は酸素以外のプロセスガスを用いることも検討しております.
 
  半導体製造プロセス分野において大面積で均一かつ高速な堆積ならびにエッチング処理が切望されており,従来の低圧プラズマよりも高密度で,かつ反応性がおよそ100万倍も高い大気圧・高周波グロー放電プラズマが次世代のプラズマ源として注目されています。
  本研究では,その第一段階として実験的に均一な放電の得やすいHeガス中の大気圧・高周波グロー放電プラズマの流体モデルに基づくシミュレーションしています。そこから得られる電圧・電流特性,放電プラズマ中の荷電粒子・励起粒子種や,電子温度,電界などの時間的空間的な変化などといった本放電プラズマの放電構造の調査を通して本放電プラズマの基礎特性の理解に努めています。

 
Heガス中大気圧・高周波グロー放電プラズマ中の
電子密度,電子温度,電界強度の時間的・空間的変化(計算結果)